月曜日と音楽#1 Alex G 『Trick』

アルバム


こんにちは。
さと(@s_____to_s)です。

最近スマホ眺めていても、ちょっと疲れることもあったりします。

色んな情報が、まるで濁流のように溢れているなぁなんて。追っかけあいしていたら、いつの間にか人生終わってそうです。

溢れた情報から好きなものを選び取って、自分だけの生の体験をしていって、「生きててよかった~」と自分はなるわけですが、そのひとつがやっぱりライブだったりしたんですね。

大量のインプットに偏った生活のアンバランスさが少し疲れるんでしょうか。ゆっくりと体験を楽しむ行為をたまに忘れそうになります。

好きな音楽を探す行為と、好きな音楽を楽しむ行為は、似ているようで少し違いますね。

あらためて、音楽を楽しむ体験のひとつとして、ライブって大事だったんだなぁと気づかされました。

生で楽しみたいですね~来日ライブ。

フジロックやスーパーソニックのように、真剣に存続をかけて闘っているイベントあるように、ぼくも自分の存続をかけて、もうしばらく辛抱して工夫しないとなぁと思ってます。



さて本題です。


それにしても毎週やってきますね、月曜日


潮の満ち引きのように、
絶え間なくやってくる労働・・・!
労働の足音が鳴る日曜日の深夜・・・!



混沌とした世の中で、
たのしみ”は制限されてるわけですが
憂鬱な月曜日は淡々とやってきちゃいます。

「月曜日か~・・憂鬱だなあ・・。」
と思うことが最近多くなりました。

そんな憂鬱な月曜日にきく音楽は、ぼくにとって、たいせつなものです。生きるうえでのクロールの息継ぎみたいなもの。息継ぎしないと溺れて死んでしまう。

ライブって大切だったんだなぁと気づかされた以上に、月曜日、愛聴している音源たちが無かったら、やばかったなと思います。

「ぷはぁぁー〜っ助かった!酸素~!」って感じで、仕事終わりや生活の合間に音楽を聴いてます。

この目線でたいせつにしている音楽を、ブログに少しずつ残していったら面白そうだなとふと思いました。

なんて暗いブログなんでしょう。

そういうことで今回は、
ぼくの憂鬱な月曜日の愛聴アルバム
フィラデルフィアのSSW
Alex GTrickを推します・・!

憂鬱な時に聴く音楽はたいせつ

突然ですが、ぼくのメンタルこんな感じです。

ブルーマンデーって言葉がありますが、まさにそんな感じです。

休みが違う人でも、度合いはさておき、こんな感じの憂鬱のルーティンがあるんじゃないでしょうか?ぼくにとっては労働が憂鬱ですが、ひとそれぞれいろんな種類の気分の浮き沈みがあると思います。

憂鬱な時と、余裕がある時ときく音楽って変わりませんか?

少なくともぼくは変わってしまいます。

心に余裕があって、そんな時にききたくなる音楽もとっても素敵。
これもとても大事にしてます。

けれど、月曜日のような、憂鬱な時にききたくなる音楽もたいせつで、ぼくにとってこちらは絶対に欠かせないもの。

自分の場合ですが、楽しい時は良い意味で、感覚が少し麻痺するというか、色んなジャンルのコンテンツが貪欲に楽しめたりします。

けれど憂鬱な時、感性が敏感に研ぎ澄まされてしまって、簡単には騙されてくれなくなってしまう。

そういう時にききたくなるような音楽は、
自分にとって代えがきかない魅力
が圧縮されていると思うんですよね。

ある意味、音楽を他人様にすすめるうえで、
ひとつの良い切り取り方なんじゃないかと。

音楽好きな方が、憂鬱な月曜日に何を愛聴しているかも、ぼく自身興味があります。普通に紹介してほしいです。

Alex G が月曜日の憂鬱にハマる

Alex Gについて

photo by Tonje Thielsen

Alex G (アレックス・ジー)は、1993年生まれペンシルヴァニア州出身の、フィラデルフィアで活動するシンガーソングライター。本名アレックス・ジアンナスコーリのソロ名義です。少し前まで(Sandy) AlexGというアーティスト名義でしたが、現在 AlexGとなっています。

この、なんだかゆるいような、かわいいような、髭を生やしたこの方です。

14歳から音楽をはじめ、
レディオヘッド、モデスト・マウス、エリオット・スミス、エイフェックス・ツインなどから影響を受けながら、10代の間、Bandcampに作品をあげつづけていました。

Spotify

その才能をフランク・オーシャンに見いだされ、『Blonde』の”Self Control“や”White Ferrari“などの名曲で、ギターやアレンジで参加しています。

現在、28歳にもかかわらず、すでに8枚ものアルバムを出しておりなんといってもすごいのが、そのどれもが”超いい“作品です。

ど素人らしく”超いい”だなんて言ってしまいましたが、

ええ・・・超いいんです。
超いい、だけで済ませませんが、
最初に思った思ったことは
超いいな・・・でした。

そしてぼくは、
とくに”憂鬱な月曜日”に愛聴しています。

彼の音楽が月曜日にハマる理由。

月曜日のような憂鬱なとき、
ぼくは弱っていて・・・
そんな中きく音楽は、その時点で一種のふるいにかけれられています。

彼の作品が月曜日にハマる理由を考えてみました。

理由① コンパクトなアルバム時間

月曜日にきくアルバムだとすると、
30分~45分以下くらいの少し短めのものをぼくは好んでます。休日と違って、急に忙しくなりますし、時間と余裕があんまりないですからね。

Alex Gのアルバム作品は、30分〜40分程度のものがほとんどです。そして短いアルバム構成にしては、ほとんどのアルバムが13曲構成というのも特徴。

タイトルリリース収録曲数収録時間
Race20101330:36
Winner20111129:34
Rules20121334:14
Trick201216(13+3)37:41
DSU20141332:38
Beach Music20151337:11
Rocket20171441:50
House of Sugar20191337:51

ほとんどのアルバムが13曲ってこだわりありますよね。

コンパクトなわりに、曲数は多い。
このおかげで、とんとん彩りがかわって、小気味良くアルバムが楽しめます。

そのテンポの良さが、月曜日にハマります。

最近は短いアルバム自体トレンドにもなっていますね。賛否両論ありそうですが、ぼくは好きです。

曲がたくさん書けるスキルが無くて短いのか、たくさん書けるが、短さにこだわりをもってるから短い構成のか、というアルバム構成を短くする理由の方がたいせつかもしれません。

若いのに作品数は多く、その収録曲数も多い点からも、Alex Gは間違いなく後者だと考えられます。

理由② アルバムが退屈しない

どんなに良い曲が部分的に収録されていても、アルバムとしてのまとまりがないと、途中でだれてしまいますよね。

さらに月曜日はこころが弱っているんで、恥ずかしながら自分のリスナーとしての耐久力も一時的に弱っているんですよ・・・。

なので、とくに月曜日は、
100点と60点で曲ごとに偏りあるようなアルバムよりも、全部85点以上で流れとまとまりがあるアルバムをぼくは聴きたくなります。

彼の作品はまさに後者のタイプで、いわゆる”ホームラン級のアンセム”はないかもしれないけれど、曲の作りがどれも心地よくて、さらに通してバランスのあるアルバムをつくり続けてきました。

アルバム『Trick』の紹介と合わせて、後ほど紹介しますが、彼はコード進行とメロディに強いこだわりを持っています。

ひとつひとつコード進行とメロディがこわだりぬかれて作られているので、もちろん曲単体もいいし、骨組みとしてのアルバムのまとまりがあるんですよね。

理由③憂鬱をやわらげるローファイなギター

やさしいローファイなギターに、
どこかノスタルジーなメロディ
この2つが基盤となる曲が多いです。

ローファイなギターってぼくは大好物です。
きくだけで落ち着いてしまう・・・

彼の音楽は、素直なギターだけという感じでも全然なくて、ロック、フォーク、サイケ、ソウル、エレクトロニカなど、いろんなジャンルへの試行錯誤や、ボーカルアレンジが練りこまれています。

そのおかげで、音がクラシカルなだけにはならず、全然飽きないというか聴き疲れをしないんですよね。

そういったハイブリッドな魅力を持っているからこそ、現在進行形で活躍しているんだと思います。

でもやっぱり、
ぼくにとって彼の最大の魅力のひとつは、
このローファイなギターサウンド

これが月曜の憂鬱にぴったしです。

理由④ 等身大でニュートラル

くどいかもしれませんが
4つ目を語らせてください。

彼の活動ベースはBandcampでした。
レコード会社で商業的なアプローチを取らず10代の頃から自身でネットに音楽を上げ続けて、少しずつ認められて、世界のファンと少しずつつながってきました。

こういったスタンスの背景からか、
音楽をきいて伝わってくるイメージが
等身大、ニュートラル です。

全然、『頑張ろう』とか『捻くれよう』とか『売れよう』ではないんですよね。

聴き方を無理強いしてこないニュートラルさが彼の音楽の世界観で好きなところ。

しっかり聴いても、聴き流しても楽しい。
まぁ自由に聴いてくれよ」って感じです。

例えば、ぼくはレディオヘッドめちゃくちゃ好きなんですけど、きく前に少し身構えが必要じゃないですか?(笑)

身構えが必要ない時ももちろんありますが、たまに身構えてしまいます。

少し構えて聴いて、
だんだんと精神が解放されていくような・・・
(その精神の解放具合は凄まじいですが・・)

もちろん愛してやまないレディオヘッドも月曜日によく聴くんですけど、それとはまったく異なった音楽の世界観と魅力があります。

Alex G は、気構えが必要なく、プラスでもマイナスでもない、『ニュートラルな状態』にぼくを戻してくれます。

なのでそんな彼の音楽が、
月曜日の憂鬱の海から少なくともゼロ地点まで、引き戻してくれるんです。

アルバム『Trick』の魅力

Alex G 『Trick』(2012)
4th アルバム
レーベル:Lucky Number

※2015年トラック追加しリイシュー

ぼくがAlex Gで初めて買ったレコードです。
他のアルバムも愛聴していますが
憂鬱な月曜日にふときいてみたとき、
初めて「これは・・・・!?」

と心揺さぶられまくった作品で、思い入れも深いので、今回取り上げました。

かわいい犬ですね。
文字の水色も、差し色で素敵。
ちなみにAlex Gのアートワークは、彼の姉であるレイチェルが手掛けているようです。

彼の音楽の世界観とマッチした素敵なアートワークですよね。ほかの作品のアートワークも素敵ですよ。

うわぁ〜起きたくねぇなぁ・・・会社行きたくねぇなぁ・・・

と思っても、耳をかっぽじって、イヤホンをとりあえず耳にはめてみます。

曲が始まると、
仕事への嫌悪を少し忘れて、

一歩一歩、歩くしかないわな・・・

と背中を押してくれています。

歩く

ぼくはそんなイメージをこのアルバムにもっています。

歩きたくなるアルバム。
歩きたくなる音楽は、憂鬱な月曜日の強い味方になる、と勝手に思っています。なぜならめちゃめちゃ歩きたくないですからね。月曜日。

これを聴いて歩き出しましょう。

Trick (2012)

1. Memory
2. Forever
3. Animals
4. String
5. Advice
6. People
7. Whale
8. Trick
9. Kute
10. So
11. Mary
12. Change
13. Clouds
14. Adam (Bonus Track)
15. Sarah (Bonus Track)
16. 16 Mirrors (Bonus Track)

Alex G 『Trick』
Spotify

憂鬱の中、冒頭3曲へダイブ

さて、
冒頭3曲で一気に引き込まれます。

アルバムの頭出しで、”いかに世界観に浸れるか”というのも、憂鬱な月曜アルバムとしても重要視しています。Alex Gの他アルバムも愛聴していますが、とりわけこのアルバムの冒頭は好きなんです。

1. Memory


そっと曲がはじまって、温もりを感じるローファイなギターが出迎えてくれます。

アコースティックの音色から、だんだんとたたみかけるようにひずんだエレキのストロークが重なってくる。そっと始まってふつふつと盛り上がる。

この流れは、アルバムの始まりとしても1週間の始まりとしてもぴったりの音色です。

朝や仕事おわりの一曲目としてきくのが本当に好きなんですよね。

この曲、途中で少しエクスペリメンタルな高音が入ります。
やっぱり彼はギターサウンドが個人的に最大の魅力ではあるんですけど、こういった細かいサウンドの上乗せもこだわりを持っていて、ミニマルなローファイギターという観点には、全くこだわっていないんですよね。エイフェックス・ツインの影響も明言している通り、挑戦的なサウンドアレンジにも貪欲です。それが今後のアルバムの成長にもつながっています。

2. Forever

ハスキーなボーカルアレンジが魅力な一曲。
この曲は詞も気に入っています。

Burns in the sun
Lives for no one
Salt on your tongue
Lights out, no fun
Drink to forget
Don’t get upset
Open your mouth
You look so

日に焼ける
誰のためにも生きていない
舌に塩を塗る
消灯、面白くない
忘れるために飲む
動揺しないで
口をあんぐり開けて
君はそう見える

Out of it
Pull it together
We could love you
Forever and ever
Pull it together
We could love you
Forever and ever

そこから脱して
しっかりするんだ
君を愛せるよ
永遠に
しっかりするんだ
君を愛せるよ
永遠に

ただ漠然とした生きることに対し、
気をしっかりして、あなたを愛せるよ

と美しいギターメロディと共にごくシンプルなメッセージが頭に溶けこんできます。

Out of it ~のところから重なるギターは、朝きいた時、美しすぎて目が覚める・・・

まさに月曜日の朝のような、惰性で生きているように感じる瞬間に、ちょっとだけ心を軽くしてくれるような詞が気に入っています。

3. Animals


初っ端から歪んだギター
大袈裟にためるイントロ
静かなところにあるからこそ大きく感じる抑揚、たまらないですね。

このアルバムでいちばん気に入ってる曲です。

一歩一歩踏みしめるような、
溜めながらリズム良く歌う。
このゆったりなんだけど少し重いリズミカルさが病みつきになります。

歩く“ということを連想するのもこの曲の存在が大きいんですよね。
ぼくが歩いて気持ち良いと思うテンポと、この曲のテンポがぴったしなんです。

ぜひ散歩のときなどにも聴いてみてください。

I do
Animals, not people
I do animals
Not people
I do

わたしは動物をやる、人じゃなく。
わたしは動物をやる、人じゃなく。

彼の詞はなかなか意味の読み取りづらいものも多いかもしれません。

「解釈はリスナーに任せたい。」とどのインタビューでも答えています。

なんだろう、この詞は。

やっぱり、がつがつしたメッセージ性ではないような。

↓(ぼくなりに意訳)
動物は他の目線を気にせず、
何をするにも独りでやっていく。
そこに余計な意味がない

そんな動物に私はなる。

↓(さらに意訳)

ニュートラルに生きよう

そんなイメージを受け取るのもこの詞の影響が大きいかもしれません。

漠然とそんな解釈ををぼくは持っていて、
勝手に気に入っています。

「あ~今日も無理せず生きよ。

とこの曲を聴いて、肩の力を抜いています。

ヴォーカルアレンジの積み重ね

5.Adviceのか細いヴォーカルや、9.Kuteのリズミカルなたたみかけヴォーカルを比べてみると、Alex Gのヴォーカルのキーやアレンジは、結構幅があります。

9.KuteでのHIPHOPのような、リズム感を重視した歌い方もぼくは好きで、こういった歌い方の幅が、こっそりとアルバムの面白さを引き上げてくれているのは間違いないです。

上の曲のように、まるごと歌声のキーや歌い方が違うことがありますが、1.Foeverや、6.Peopleのように、途中で歌声のキーが切り替わる楽曲も多いです。この切り替えタイミングも素敵。

反対に、
彼の歌唱力自体は、そこまで卓越してるものではないかもしれません。

けれど、それが「等身大」です。
いいんです。

歌唱力の理由からかもしれないけれど、声にエフェクトをかけていることも多いですが、そのアレンジが上手い・・・!

もし彼の歌唱力がとても高かったら、こういったエフェクト・歌い方の工夫を凝らすこともなかったかもしれない。なにを歌ってもうまい天才ではなくて、歌については色々な工夫を凝らして努力しているな、と思います。

そう考えると彼に関しては、「逆に歌がそこまで卓越して上手くないところが好き」まであるかもしれないです。

たまにSNSでも見かける意見ではありますが、
歌が上手いことと、歌が心を揺さぶってくることは必ずしも一致しないんですよね。

ソングライティング

彼はレビューサイトMIikikiのインタビューでこう答えていました。

作詞以上に彼のソングライティングで重要なのは「コード進行とメロディーを書くこと」で、「その2つは同時に作られる」。

「だから、その2つがまず完璧じゃなければいけない。その基盤が出来たうえで、サウンドの実験が自由にできるんだ。自分が好きなコードとメロディーがないと、制作の集中力が続かないんだ」。

MIikikiのインタビュー :(サンディ)アレックス・G((Sandy) Alex G)、フランク・オーシャンも惚れ込む若きSSWの実像

ギターのコード進行と、メロディをこだわりぬいて同時に作っていることがわかります。

まずは曲の骨格を徹底的に!
といったスタンスを読みとれますね。

これが理由なのか、このTRICKも冒頭3曲が悪魔的に素晴らしいですが、その後も失速しないんですよね。

先ほどの歌唱力の話とは違い、
このソングライティングについては、
彼は天才的です。

完璧に作ると口で言うのは簡単ですが、
そこが1番難しく才能が必要なのでは?と思います。

例えば、7. Whale のようなクジラをひたすら絶賛する詞の不思議な曲もありますが、この曲も根幹のギターコード進行とメロディが噛み合わせが素敵です。ひたすら同じパターンのコード進行とメロディで終わりますけど、まだまだきいていたいなと思わせる魅力があります。

彼の詞が比較的シンプルのなのも、大切に組み上げたメロディを崩さないように無理なくフレーズを当て込むためかもしれません。

中盤の曲だと、
5.Advice
7. Whale
9.Kute
11. Mary

あたりが個人的にいい味出してますね・・・

縁の下の力持ちとなって、このアルバム中盤を支えてくれています。

ギターのコード進行もとてもいいですが、とくにボーカルやギターソロの”メロディ“がとても耳にのこり、おそろしくポップでキャッチーなのが、彼のソングライティングの魅力なのかなと考察してます。

ボーナストラックは必聴

アルバムも終盤です。
13. Cloudsのあたたかいローファイギターのインストで一回締まる。1. Memoryの前奏とあえて似たサウンドにしているのかなと。

ここまでくると、
そろそろ一周した感もあって、
なんだかサウナの外気浴みたいな満足感を感じたりします・・・
無理して例えたりしていませんよ。本当です。
カタルシスも感じてます。


ここからの終盤の3曲は、
リイシューで追加されたボーナストラックです。

蛇足感が生まれるので、実はあまり好きでない”ボーナストラック”という概念ですが、これは必要不可欠なボーナストラックです。

14. Adam (Bonus Track)
15. Sarah (Bonus Track)
16. 16 Mirrors (Bonus Track)

3曲ともたまらない曲です。

とくに15.Sarahは、
彼の全ての楽曲の中でも傑作・・!

ラストにこの曲があるおかげでこのアルバムの魅力もぐんと上がっているなと。

耳に残るメロディとボーカルアレンジのハーモニーが極まってます。

初めてこの曲を聴いた時、

これがハーモニーか〜!

と鳥肌が立ちました。

キーボードの忘れられないメロディ相変わらずのあたたかいギター 、ハスキーボイスとぶっきらぼうな低音のコーラスそれらの”音の重なり”がとにかく素敵な曲。

最近の作品では、ボーカルで高音と低音のコーラスを多用しているんですが、初期ではこの曲や、2.Forever が初めて本格的にコーラスされている試みだったと思います。

個人的な考察ですが、もし彼単体のヴォーカルで彼の表現したい高音をだすことができていたら、コーラスがなく、もしかするとよくあるようなヴォーカルだけで完結していたかもしれない。彼が歌唱力にコンプレックスを抱いていたのであれば、そこから派生した強力な魅力がこのコーラスアレンジなんです。

このコーラスアレンジはローファイギターに並ぶ彼の持ち味で、この曲でその才が開花しています。

ぼく持っているレコードは、この精鋭たるボーナストラックが入っていないバージョンなので、レコードを聴くと毎回それがとてつもなく寂しい。(続きをspotifyできいたりします)

月曜日の朝
このアルバム聴き終わる頃
朝日に目を細めながら

ふぅ・・まぁ・・、働くか。よし

と仕上がってます。

憂鬱が吹っ飛ぶだなんて言いませんが
なんとなく、向き合えるようになります。

憂鬱な月曜日にAleX Gを

月曜日という呼び方をしましたが
月曜日に限らずとも、

周期的な憂鬱のルーティンは、ほとんどの人がそれぞれ向きあってるものかなと思います。

とくに、最近のご時世はつらいものがありますね。

音楽なんかで全てが救われるとは微塵も思ってはいませんが、ちょっとだけ、ちょっとだけ救われます。

そのちょっとだけの救いや癒しを、積み重ねていきたいですね。

Alex Gの楽曲が既に好きな方、今回気になった方は、憂鬱な時ふらっときいてみてください。

<まとめ>

・Alex Gの音楽が月曜の憂鬱にハマる
① コンパクトで曲数の多いアルバム構成
② ソングライティングへの強いこだわり
③ 憂鬱をやわらげるローファイなギター
④ 等身大、ニュートラルな世界観

・『Trick』(2012)の魅力
① 冒頭3曲で一気に引き込まれる
② ヴォーカルアレンジの積み重ね
③ 中盤も失速しないソングライティング
④ 必聴のボーナストラック『Sarah』

『Trick』はいいアルバムですよ。

他の作品もむちゃくちゃいいので是非。
一番新しいアルバム『House of Sugar』(2019)も、彼の持ち味が昇華された傑作です。
今回紹介した 『Trick』 よりも、フォーク・エレクトロニカの味が強くなっていますが、芯のメロディやローファイギターの魅力も詰まっており、とても聴きやすいかつジャンルレスな魅力の作品です。

Spotify

『Trick』との作風の違い、7年間の彼の成長もわかるので聴き比べても面白いです。

本当はAlexGも20年6月に初の来日公演が決まっていたんですが、中止になってしまいました。ライブでもいつか是非拝みたいですね・・。フジロックのヘブンとかも似合いそうです。

しばらくこんなクソみたいな世の中ですが、
音楽でもきいて、
憂鬱に溺れず息継ぎしていきましょう。

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